山田和樹 マーラーツィクルス 第8回 オーチャードホール 2017.6.4
指揮: 山田和樹
管弦楽: 日本フィルハーモニー楽団
武満徹: 星・島(スター・アイル)(オーケストラのための)
マーラー: 交響曲 第8番 変ホ長調「千人の交響曲」
武蔵野合唱団
栗友会合唱団
東京少年少女合唱隊
林正子、田崎尚美、小林沙羅、清水華澄、高橋華子、西村悟、小森輝彦、妻屋秀和
星・島(スター・アイル)は、武満徹の中で初めて眠くなれずに聞けた曲である。どうしても武満徹の曲は睡眠導入作用があるのだが、これは曲の流れがわかりやすく、どこで意識が遠のくことがなかった。
マーラー第8番は本当に楽しみにしていた曲である。千人の交響曲というほどの大規模で演奏される曲であるから。今回は300人以上とのことだった。確かにこれだけの合唱団とソリストを集めるとお金がかかる。だから公演が2回となったと山田和樹が説明したが、それだけでなく、これだけの参加者がいれば、その関係者がたくさん見たいと言うのは当たり前だろう。
それにしても最初から、2階に管楽器を置いたり、ソリストを置いたりと素晴らしい演出である。というかこれだけの演奏者がいると会場全体に演奏は広がるほどのダイナミックスさとエンディングの素晴らしさがある。
これはなんと言うか宗教的な祭典のような、誰か(ファウスト)が天国にいくのを祝うような感じである。それが山田和樹の指揮と複雑に絡み合い素晴らしい状態で終わった。
第一部 来たれ、創造主である聖霊よを、から ラテン語で
第二部 ゲーテのファウスト第二部の最終場面から ドイツ語で
悪魔メフィゥトフェレスに天使が勝ち、ファウストは高みへと運ばれる。ファウストは、聖母、天使たち、かつてのグレートヒェンに導かれ昇天する。
山田和樹 マーラー・ツィクルス 日本フィルハーモニー交響楽団 第7回 Bunkamuraオーチャードホール 2017.5.14
東京エレクトロンpresents 山田和樹 マーラー・ツィクルス ≪第3期 昇華≫ 第7回 日本フィルハーモニー交響楽団 第7回 Bunkamuraオーチャードホール 2017.5.14
武満 徹:夢の時
マーラー:交響曲 第7番 ホ短調「夜の歌」
第1楽章 Langsam (Adagio) - Allegro risoluto, ma non troppo
第2楽章 Nachtmusik I. Allegro moderato
第3楽章 Scherzo. Schattenhaft
第4楽章 Nachtmusik II. Andante amoroso
第5楽章 Rondo-Finale. Allegro ordinario
どうしても武満徹は眠ってしまう。マーラーも長ったらしいの眠ると人が多いと思うんだが。
いつも面白いのは、山田和樹によるブレトークである。
これが非常に楽しい。彼のマーラーの解釈、7番の説明、そして武満 徹の説明もあってこれが納得することばかり。
マーラーの交響曲のなかでもあまり人気のない作品と言われている。録音も少ない。なるほどと演奏を聴いた後に思った。
でも今回のマーラー交響曲 第7番はすこし僕のイメージとズレていた。もっと夜の歌らしい雰囲気があるのかと思っていたのである。それがないのは第5楽章があるからだろうか。ハ長調だからとても夜の雰囲気が出ない。確かに山田和樹も夜の歌と言う題名が合わないというようなニュアンスで話していた。
第1楽章 から第4楽章までは繋がりがあるように思えるのだが。最後に来て今回の演奏では、第5楽章の演奏は華やかで快活、最後まで盛り上げていくのだが、やや一本調子でつまらなく感じてしまった。ただ僕にはもっと解釈が違うような気もするんだが。もっと第5楽章を繊細に解釈すれば、違う結末が待っているような気がする。
マーラーの交響曲 第7番 の評について色々読むと、構成的に難があるとか、性格が突然変異したようなこの華やかなフィナーレは、華麗な現象と中身の薄い内実との間の無力な不均衡と言われたりしている。なるほど多くの人が第5楽章について疑問を持っているんだ。
僕は、エリアフ・インバル指揮のフランクフルト放送響や、アバド指揮のベルリンフィルを聴いていたのだが、もう少し違うものが聞こえてきた感じがあるんだが。もっと繊細で細やかな音の変化があった気がした。そこには、物語性というよりは音楽性の完成があり、それが歓喜で終わる感じなのだが。
山田和樹指揮 バーミンガム市交響楽団 愛知県芸術劇場コンサートホール 2016.6.25
山田和樹指揮 バーミンガム市交響楽団
チェロ:ピーター・ウィスペルウェイ
ベートーヴェン: 劇音楽『エグモント』序曲
エルガー作曲:チェロ協奏曲 ホ短調
ブリテン: チェロ組曲第1番
シベリウス作曲:交響曲第2番 二長調
チャイコフスキー: 歌劇エフゲニー・オネーギンよりポネーズ
今年は、山田和樹の追っかけみたいだった。マーラー交響曲4-6番までを聞いて、そして今日のバーミンガム市交響楽団の指揮である。
バーミンガム市交響楽団も、今年5月にベルリンフィルを率いてベートーヴェンのチクルスを演奏したサイモン・ラトルが育てた楽団である。ラトルが当時25歳で就任したバーミンガム市響とラトルは当時世界的には知られていなかった。それが、このオーケストラと一緒に一流になった。
そのオーケストラの実力がしっかりと出ていた。弦楽器の中音部の充実度、純粋な音色はうっとりとしてしまう。そして管楽器もしっかりした音を出している。全体にバランスが取れたオーケストラである。
そして山田和樹のはっきりした小気味よい指揮振りである。彼の素晴らしいのは、華やかな音の出し方が素晴らしい。昔のカラヤンみたいだ。そしてはっきりとした盛り上げ方と、最後の爽快感を作り出す。素振りのような指揮で音が鳴り響く。本当にいいね。
最後のサイン会で来年のマーラーの7, 8, 9番も見ますと声をかけたら、最後に大変なのが残っているからと言って行ったのが印象的だった。
マーラー:交響曲 第6番 イ短調 指揮 山田和樹 日本フィルハーモニー交響楽団 オチャードホール、2016.3.26
武満徹 ノスタルジアーアンドレイ・タルコフスキーの追憶にー
(ヴァイオリンと弦楽オーケストラのための)
ヴァイオリン 扇谷泰明
マーラー交響曲 第6番 イ短調 悲劇的
第1楽章 Allegro energico, ma non toppo
第2楽章 Scherzo, Wuchtig
第3楽章 Andante moderato
第4楽章 Finale
マーラー6番の演奏は本当に素晴らしかった。やっぱり山田和樹は、すごいなと思ってしまった。いやー満足しました。
第1楽章の出だしから素晴らしいと思った。この早いテンポがいいんだよね。
弦楽器も素晴らしかったが、管楽器は今回は合格でした。6番はあれだけのヴォリュームがあるのをここまでこなせるとは。ここまで日本フィルができるとはとビックリでした。第4楽章は、最後確かに終わりがはっきりしないので誰も拍手しないのですが、僕は大きくため息をついてしまった。こちらも緊張していたし。最後まで、素晴らしい緊張感が伝わってきました。
マーラー第6番はどこで終わるんだろうと、聴き手を迷わせる。そして最後に終わったのにここで終わったのとも思わせる。その思いが狙いであるし、その最後の余韻がなんとなく不安を感じさせる。
山田和樹のインタービューに
マーラーの音楽は、行きそうで行かない、焦らされる感じがある。クライマックスかと思ったところで、まだそこがクライマックスではなかったりする。
実はマーラーの音楽の本質は、ピアノやピアニッシモなどの静かな時間が異様に長い。
聴衆にも奏者にも緊張を強います。そして尋常でない緊張や集中とともに、オーケストラ一人一人の奏者の極限的な取り組みが求められます。聴き手はそういうところに感動するのかもしれませんね。
まさにその通りです。マーラーの第6番本当にそうでした。
来年のマーラーにも行かなくては。