Chateau Clinet 1988 シャトー・クリネ

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Cline88.jpgポムロールの熟成したワインが飲みたかった。なかなかこのようなワインを飲む機会はない。
外観 エッジにオレンジが入ったガーネット色
香り ペッパー、シガー、キノコ、スーボア、最後に、カシス、ミュール、プラムが香る。複雑な香りである。
味わい 滑らかな口当たりで甘さを感じる。口の中に心地よいベルベットのような液体の感触が広がり、酸もエレガントである。最後に軽いタンニンのアクセントがあり余韻も長い。
美味しいワインである。これぞ熟成したポムロールの味わいがある。メルローも濃縮するとこれほどのカシス、ミュールの強い感じと熟成感ががでてくるのである。やっぱりこうしたポムロールのワインを飲まなければワインの奥深さはわからないんだろう。
1988年はタンニンが強い年だった。しかしこのクリネはタンニンがしっかりと溶け込み、素晴らしく官能的なワインとなっている。今がピークだろう。パーカーが言う通り掘り出し物のワインである。
シャトー クリネ パーカー ボルドーより
既に19世紀には確固たる名声を得ていたシャトー・クリネ。シャトー・ペトリュスのオーナーであったアーノー家の手に渡るまでコスタン家の所有であり、1980年代初頭にジャン・ミッシェル・アルコートの出現により、劇的な進化を遂げる。彼は既存の概念を打ち破り、グリーン・ハーヴェスト、除葉、ブドウの生理学的熟成を目標とした遅摘み法を確立し、カベルネの比率を下げた。その功績が称えられ、アルコートはワイン評論の世界的権威から2度も『ワインメーカー・オブ・ザ・イヤー』に選出され、1989年ヴィンテージのクリネは満点評価を獲得した。
まず最初に、摘み取りの日時と、醸造と、育成のスタイルに関して、有名な醸造学者ミシェル・ロランに全面的な責任が与えられた。これは、クリネができる限り遅くブドウを収穫するようになったという意味である。事実1987年からクリネは、ポムロルで一番収穫の遅い畑に入っている。次に、1982年のヴィンテージで初めて用いられた刈り取り機の使用が中止された。その結果、1987年には、このアペラシオンを代表するだけでなく、ボルドーでも最高の2つのワインのひとつ(もうひとつはムートン=ロートシルト)が生まれた。その後、栄えある1988年、有無を言わせぬ偉大なワインである1989年、1990年、1995年が次々に誕生した。アルコートはクリネのマセラシオンに1ヵ月も時間をかけ、同時にかつては高かったカベルネ・ソーヴィニョンの比率を15%以下に引き下げた。こうしてクリネは、ポムロルだけでなく、ボルドー全体で最もエキサイティングな新しいワインのひとつになった。今ではこれを見つけるためならどんな努力でもしてみる価値がある。
葡萄品種 メルロ85%、カベルネ・ソービニヨン10%、カベルネフラン5%
土壌 粘土質、砂利質、砂質の区画がある。
平均樹齢 40年
アルコール発酵 発酵とマセレーションは温度管理された小容量の木製槽で30~40日間。
仕上げ処理 清澄も濾過もしない。
樽熟成期間 18~24ヶ月
新樽使用率 100%
年間平均生産量 約2万8000本
1988 シャトー クリネ 92点 (パーカー ボルドー4版から 改変)
故ジャン・ミッシェル・アルコートのもとで作られた最初の最高級ワインである1988年は、華麗な成長を続けている。エスプレッソコーヒー、甘いブラックベリー、チェリーの果実の趣と混ざり合ったプラムとカラントの香りが、このミディアムからフルボディで、非常に凝縮感がある味わいとともに飛び出てくる。これまたこのヴィンテージとしては、見事に成長しているワインであり、いささか掘り出し物ワインでもある。(このヴィンテージは、少なくともクリネのようなワインについては過小評価されたままなのである)。予想される飲み頃 現在〜2012年。
テイスティング: 2011年9月 9日
My Rating(評価): 16/20
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