外観 やや濃いめのルビー色
香り 白胡椒、大地の香り、そして赤い果実、スミレ、スットするミントの香りなど。開けてから開くまで時間がかかる。香りは、これがあの特級かと思うほどの強さはない。どちらかと言えば、奥の方にある上品な香りを感じ取るようなワインである。
味わい 柔らかく軽く甘さを感じる液体である。口のなかで赤い果実と奇麗な酸が広がる。なっと言っても質感が通常ではない。口の中に石灰の粉があるような滑らかで細かな質感である。余韻も本当に長い。
このワインは、ワインの師匠の解説付きで飲んだ。そうでないとこのワインの本質に少しも触れることが出来なかったかもしれない。このワインは確か2年前にも飲んだが、最後最後にきらりと光る宝石を感じただけだった。今はもう少し開いてきた。でもまだまだ十分なパワーが出ていない気もするのだが、これはこのミュジニの性質だからか。今後ももっと飲まなければわからないだろう。
ミュジニは、ブルゴーニュのワインの中でも羨望のまととなるワインである。だが、専門家に言わせると非常に近寄りがたいワインでもある。このワインは、他の素晴らしいクリマのワインに比べると強くかぐわしいわけでもなく、強いインパクトが味わいでもないのである。またヴォギュエのミュジニを代表にしても、非常に長い熟成が必要なワインである。
つまり素人が簡単に手を出すワインではないということである。ただ、このワインをどれだけのソムリエが飲み慣れているかと言うことも考えればわかるように、優秀なソムリエにのみ、サーブできるワインと言うことになる。このワインの状態を判別して適切な時期に、素晴らしい状態でサーブして、そしてこの特徴を解説できるプロ中のプロがどれだけいるだろうか。
僕もこのワインがどれほどよいのかまだまだわからない。素晴らしいことはわかるが、おーと魅了するほどのわかりやすいパワーがないのである。この上品さ、格別の味わいをわかるにはまだまだ経験が不足しているようだ。
ただ、以下のコメントがすこし共感できるようになったのは嬉しい限りである。
ヴェルヴェットのズボンをした小さな神が喉をすり抜ける。シルクとレース、極めて上品、まったく粗雑さがない、しかし深く味わうと隠れた強さを持つ。香りは、湿った花壇の香り、バラのパフューム、朝露に濡れたすみれ Gaston Roupnelの言葉、 Grand Cru レミントン・ノーマンより
ミュジニ ブルゴーニュのワインがわかる マット・クレイマーから
ミュジニの素晴らしさを讃える言葉は際限なく繰り返されてきた。どうしてだろうか。ミュジニこそは究極のシャンボール・ミュジニであり、響きの強い味わいに格調の高さがあいまって、無上のとりあわせをみせるからだ。これがヴォーヌ・ロマネのグラン・クリュであれば、もっとはなばなしい、たぶらかされるような味わいかもしれない。シャンベルタンであれば、文句なしに濃さが違う。だが、ミュジニにはどれもまさる品格の高さがあり、霊妙と言いたいほどの清純なかぐわしさがある。しかもロマネ・コンティ、ラ・ターシュの、あの妖しい香料のような気配はない。
ミュジニ The Wines of Burgundy クライブ・コーツ
ミュジニは、全コートドールの中でも非常に素晴らしいクリマの一つである。シャンベルタン、クロ・ド・ベーズ、ラ・ターシュ、そしてロマネ・コンティと肩を並べるワインである。ブルゴーニュの王家の血筋をもつプリンス以上である。これは王そのものである。
そのテキスチュアと特徴を考えれば、王といよりも女王である。そして他の4つのワインがその横に座ることを競っているのである。
クリマは道を隔てて二つに分けられている。北側はやや大きく、Grand MusignyもしくはたんにMusignyと呼ばれる。南側は、複数形で、Les Petitis Musignysと呼ばれる。これは多くのドメーヌに別けられているように感じられるかもしれないが、全く違う。ここは、ヴォギュエの単独所有である。1929年に、さらに、ラ・コンブドルボーが加えられ、1989年にジャック・プリウールが持つラ・コンブドルボーの部分が加えられた。
260から300mの標高で、斜度は、8度から14度の間である。
上斜面は、中生代ジュラ紀中期のバトニアンの石灰岩でできた球状の小石ででてており比較的深い。下斜面になると、同時期のコンブラシアンの大理石がくだけた石灰岩の土壌となる。やや浅めで石灰岩の活性はやや低い。ミュジニの土壌の石の占める割合が非常に高く20%以上もあり、そこに赤い粘土が加わる。これは、モレ・サンド二やジュブレ・シャンベルタン、ボンヌ・マール、そして他のシャンボールとも全く異なる土壌である。
テイスティング: 2012年12月23日
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