Musigny V.V. Vogüé 1995 ミュジニ V.V. ヴォギュエ

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Musigny V.V. Vogüé 1995 ミュジニ V.V. ヴォギュエ

外観 エッジにオレンジがある濃いめのルビー色
香り 最初は閉じている。白胡椒、乾いた赤い土のような香りしかない。最初は発酵温度が高めの時にでるローストした乾いた木樽のスパイス、きのこなどが香る。ただ奥の方にかすかに上品な赤い果実の香りが伺えれる。1時間待つと非常にゆっくりと、上品な赤い花、大ぶりの赤いバラの香りが奥の方から強く香り始めた。スパイスも当然それに合わせてナツメグ、シナモン、クローヴなど、その奥に非常に上品な赤い花の香水がある。後ろ側にミネラル、土の香りがではじめた。
そして2時間経つと熟した赤い果実(ストロベリー、ラズベリー、ミュール)が現れた。
いつも熟した良いピノ・ノワールを飲むと、全面にフレッシュな赤い果実、後ろに枯れたバラ、きのこ、スーボワなどが立体感を持って感じるのだが、これは全てがきめ細かなグラデーションになって現れる。非常に複雑で上品な香りである。3時間半くらゆっくりと飲んだが1995というのに香りも味わいもまったく落ちない。
味わい 前回飲んだ1995のボンヌマールと同じように、味わい最初からすごい。
アタックは力強く全ての要素が詰まった果実、ミネラルが口の中に広がる。最初から驚きである。熟した果実(綺麗な赤系のフランボワーズ、ストロベリー、そして黒系の木なりの果実が)、そしてアルコールは中等度、タンニンは厚みがあるが非常にこなれてヴィロードのようにある。余韻に非常に強いミネラルと、非常にスケールの大きな旨味の塊がある。余韻は非常に長い。

二つのボトルをほぼ同時に開けて飲んだ。
最初は、レザムルースがすぐに開いたが、ミュジニーうんともすんとも言わない。でも飲んでみると美味しい。ミュジニーが香りが開くまで辛抱強く待ち、その間に開いたレ・ザムルースをちょびちょびと飲み続けた。今回良かったのは、レ・ザムルースが開いていて、ミュジニーを飲むのを我慢できたことである。やっぱりミュジニーはワイン会向きでない。味わいは最初から力強く、ミネラル豊かで美味しいのだがまったく香りが開かない。一杯だけなら美味しいと言って香りが開かない前に飲みきってしまうだろう。結果ミュジニーの香りを捕らえることはできない。
ゆっくりと1本二人で飲みながら、ミュジニーのベールをすこしづつはがすことができた。なんだか絶世の美女を一枚一枚脱がしているような感じである。だが、どこまで本当の姿を現したかまだわからないが、それでもミュジニーの真髄を少し垣間見れたと思えたのは幻想だろうか。
やっぱりこのミュジニーの優雅さは群を抜いている。リシュブールも優雅であるが、はるかに外交的である。ロマネ・コンティをあまり飲んでいないのでそこまでは語れないが、ベストなロマネ・コンティは優雅というよりは神々しいと思うのだが。

2004年レ・ザムルースと1995年のミュジニーの飲み比べだったが、同じ作り手なのに、そして隣の畑なのにこれほど違うものかとまたもや実感してしまった。ミュジニーの奥に秘める強いポテンシャルをまざまざ見せつけられた。ただ、1995年のミュジニーには発酵温度が高めだったような木樽のロースト香が最初に感じられた。これはミュジニーというだけでなく、1995年当時のヴォギュエの醸造の仕方だっただろうか、レ・ザムルースには感じられなかったから。


ミュジニー
ミュジニーはすべてのコート・ドールの中で最上級のクリマである。それは、シャベルタン、クロ・ド・ベーズ、ラ・ターシュ、ロマネ・コンティといった特級畑に劣らない。ブルゴーニュの王家の中でも王子の血筋以上であり、その威厳からは王家と言って相応しい。ミュジニーのテキステュア、性質は、王というよりは女王であり、その地位は確立している。王の座に座るのは、他の4つの畑でしのぎ合ってはいるが。

標高は260-300mの高さにあり、斜度は8~14%程度である。土壌は、バトーシアンの魚卵岩が上斜面に、コンブラシアンの石灰岩の破片が下斜面にある。 他のモレ・サン・ドニ、ジュヴレ・シャンベルタン、他のシャンボール・ミュジニとは異なり、他では見られない赤い粘土土壌がある。中世の時代にはキリスト教の手により耕されてきたが、クロ・ド・ヴージョはとは大きく異なり、一度も石垣で囲まれたことがない。

このミュジニーの出来が良い時は、ブルゴーニュの中で最も美味なワインとなる。これは自分だけの意見だけでない。このワインは、ワインが到達できる絶頂となりうるのである。
鮮明な赤色、非常に美しく精緻に調和がとれ、複雑で深遠なブーケがある。
タンニン、酸、最も強いフレイバーのあるフルーツがあり、(あなたが想像出来る全ての小さな赤いフルーツがあり)、フィニッシュには、比較できない血筋であり、深さがあり、特異性がありそして純粋である。偉大なミュジニーはグラスの中に天国がある。

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テイスティング: 2016年3月25日
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